SIGMA fp Firmware Ver.3.00
オールドレンズ専用機化計画
SIGMA fpのファームウェアVer.3.00が公開になった。SIGMA fp Lといっしょに発売になったEVF-11、これをSIGMA fpで使うために必須のファームアップだ。と同時に、実はSIGMA fpをオールドレンズ専用機にするためのファームアップでもある。いったい何の話だと訝しむかもしれないが、このファームアップを行えば、SIGMA fpがオールドレンズのベストベースボディになるのだ。
筆者はSIGMA fpを衝動買いしたクチだが、雑誌などの仕事で使ってしばらく、あまり持ち出さなくなってしまった。MF操作があまりにつらく、オールドレンズ撮影で使うには酷なボディだったからだ。オールドレンズ撮影はライブビューの拡大表示を多用する。日中、屋外では液晶の視認性がわるく、特に逆光条件ではほぼ画面が見えない。さらに拡大表示を行うにしても、フォーカスフレームの選択と画面拡大の操作に連携性がなく、ひどく使いづらかった。タッチ操作でフォーカスフレームを指定すればまだマシになるが、ホールド性をあえて犠牲にしたコンパクトボディだけに、カメラをかまえたままタッチ操作するのがこれまたひと苦労だ。
そんなSIGMA fpだが、ファームウェアVer.3.00で大化けする。ここではSIGMA fpをオールドレンズのベースボディに最適化するための設定を解説しよう。以下の設定にすると、オールドレンズ撮影が格段に快適になるのだ。
まずはEVF-11を追加する。これは必須だ。SIGMA fpの液晶は逆光条件だと視認性が厳しく、MF操作はほぼ苦行だった。ファームウェアVer.3.00にアップデートするとEVF-11が使えるようになるので、ぜひともこれは導入したい。
次いで、「ダイレクトフォーカスフレーム移動」を有効にしよう。液晶メニューを開き、「フォーカス」→「ダイレクトフォーカスフレーム移動」を選び、「入」にセットする。こうすると、後ダイヤルの方向ボタンを押すだけで即座にフォーカスフレームが移動でき、その後OKボタンを二度押すと該当箇所を拡大表示できる。ファームアップ前にくらべて格段に拡大表示がスムーズになった。他社ミラーレス機とくらべても、オールドレンズのベースボディとして文句なしに快適だ。
EVF-11の導入にともない、「LCDへの自動切替」をONにしておこう。これはEVF-11が「EVF」の状態(液晶を消してEVFのみ表示)になっていても、MENU、QS、再生ボタンを押した際は液晶上にそれらを表示する機能だ。EVF表示オンリーだと、メニュー操作や画像チェックのときもEVFをのぞいた状態で作業しなくてはならない。これを出先でやるのはちょっと恥ずかしい。「EVF」モードのままメニューや画像再生を液晶に表示してくれるので、これはかなり助かる。というか、この機能がなかったらSIGMA fpユーザーはまるっと街中で痛いヒトになっていたにちがいない。
これは任意だが、露出補正は後ダイヤルから前ダイヤルに入れ替えておく。オールドレンズ撮影は拡大表示を多用するため、後ダイヤルの方向ボタンをかなりの頻度で操作することになる。拡大表示と露出補正の操作をしっかり切り分けたいなら、露出補正を前ダイヤルにセットすると快適だ。
SIGMA fpは発売当初、どちらかといえば動画用途を意識したミラーレス機だった。今回のファームアップにより、オールドレンズの理想的なベースボディという新たな才能が花開いた。オールドレンズ撮影ならSIGMA fp Lのような6,100万画素センサーはいらない。像面位相差AFも不要だ。SIGMA fpとオールドレンズの新章がはじまる。