ZNONZ Is
ターレットで回折光学写真を究める

Leica M11 + ZNONZ Is 写真・文=澤村 徹


これまで数多のピンホールレンズが登場してきたが、ズノン社のZNONZ Isはその決定版といえるかもしれない。プレート交換することなく、4タイプの回折光学写真が楽しめる。しかも作りが極めて高精度なのだ。

回折光学写真はピント合わせや絞り調整が不要。構図だけに専念できる。中央の光学素子がピンホールのプレートで、その上の窓にプレートの種類が表示される。


このZNONZ Isはターレット型のピンホールレンズだ。側面にダイヤルがあり、これを回すことで、ピンホール、フォトンシーブ、ゾーンプレート、スクエアゾーンプレートという4種類のプレートが切り替わる。このターレット機構を実現するにあたり、それぞれのプレートが正確に光軸と合致するように、高精度な製造が行われているのだ。また、各プレートの光学素子も理想的な描写を得るためにこだわり抜いた設計だ。回折光学写真はいわゆる“ゆるふわ”系の雰囲気があるが、ZNONZ Isはそんな印象とは対極的に緻密で高精度な製造技術によって生まれた製品なのだ。むろん、日本製である。

側面のダイヤルを回すとプレートが切り替わる。定位置にクリック感があり、各プレートを光軸に正確に合わせられる。PHはピンホール、PSはフォトンシーブ、ZPはゾーンプレート、SZPはスクエアゾーンプレートの略だ。

ZNONZ Isが収録するプレートは4種類だ。この図版は組み込まれている光学素子の拡大図である。高精度な加工が必要とされる部分だ。

ピンホール:F128相当。近接から無限遠まで同じボケ量になる。滲みが過剰にならないように、最適なホールサイズを採用している。

ゾーンプレート:F32相当。4種のなかでもっとも明るい。回折現象によって像を成す。滲みが大きいが、ピンホールよりも解像感がある。

フォトンシーブ:F76相当。ゾーンプレートに似た描写だが、よりナチュラルな写りだ。

スクエアゾーンプレート:F57相当。矩形を用いたゾーンプレートで、像や光芒が格子状になる。

マウントはライカM互換マウントで、焦点距離は28ミリ相当だ。M型ライカに装着した際は28ミリのブライトフレームが表示される。マウントアダプターを介して様々なミラーレス機に装着可能だ。基本的にはフルサイズ向けの製品だが、実は富士フイルムGFXシリーズに装着してもケラレずに使える。GFXシリーズ(4433イメージセンサー)では35ミリ判換算22ミリ相当で撮影可能だ。

ライカM互換マウントを採用している。M型ライカに装着すると28ミリのブライトフレームが表示され、実際の画角にマッチしたフレームで撮影できる。

専用のレンズキャップが付属する。ガラス玉がないとはいえ、光学素子をこうして保護できる仕様は安心感につながる。

製品ロゴは上下どちらから見ても同じになるようにデザインされている。上下逆さまに装着しても外観上の違和感はない。

クラウドファンディングで限定販売されたメタリック加工仕様。ライカM11に付けると強烈な個性を放つ。現在は通常モデルを直販サイトで販売している。

マウントアダプターを介してα7 IVに装着した。フィルム時代のピンホール撮影はスローシャッターだったが、デジタルならISO感度を上げて手持ち撮影できる。

さて、肝心の描写はどうか。どのプレートも総じて柔らかい写りだが、2~3回撮影するとそれぞれのプレートの個性が見えてくる。ピンホールは4種のなかでもっとも滲みが抑えめで、磨りガラス越しに世界をのぞいているような写りだ。それに対し、フォトンシーブとゾーンプレートは盛大に滲む。フォトンシーブは光と影が柔かな塊と化し、ゾーンプレートは滲みの奥から解像感が伝わってくる。スクエアゾーンプレートは格子状の光芒が魅力だ。すべてにいえることは、昨晩の夢をそっと暗箱に閉じ込めたような、自分しか知らない世界が写る。この写りがたまらなくいい。

α7 IV + ZNONZ Is Pin Hole ガラスに反射した光が長い影を作る。ピンホールの捉えどころのない写りが人と影の境を曖昧にする。

Leica M11 + ZNONZ Is Photon Sieve フォトンシーブは被写体を捉えるというよりも、光と影の塊を写すような使い方がおもしろい。

α7 IV + ZNONZ Is Zone Plate 滲みが大きく、夢のなかに首を突っ込んだような見え方だ。

Leica M11 + ZNONZ Is Square Zone Plate 長く鋭いフレアが射す。光芒は格子状の光を放つ。普通のレンズでは到底撮れない絵だ。

GFX50S IIに装着したところ。ZNONZ Isはフルサイズ用の製品だが、GFXの4433センサーでもケラレずに撮影可能だ。中判ミラーレスでピンホール撮影、何とも贅沢な気分だ。

GFX50S II + ZNONZ Is Zone Plate 盛大な滲みが立体感を奪い、高架の影が生き物のようにうごめく。

GFX50S II + ZNONZ Is Square Zone Plate 水面の輝きが矩形をともなう。超広角22ミリ相当となるため、シーンによっては周辺部にマゼンタかぶりが見られる。

開発者に取材したところ、本製品の構想はマイクロフォーサーズの黎明期からあったという。ただし、マイクロフォーサーズはイメージセンサーが小さく、センサーに付着したゴミの写り込みが目立ってしまう。フルサイズミラーレスの登場を待ち、本格的にプロジェクトを立ち上げたという。回折光学写真にかける思いの深さをうかがい知ることができるエピソードだ。

ZNONZ Is
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