Chih-Ta Chen Brass of The Top Shutter Button
真鍮削り出しのライカM3リスペクト
ソフトレリーズボタンは二極化している。シンプルなものと、意匠を凝らしたものだ。カメラドレスアップという観点からすると、意匠を凝らしたソフトレリーズボタンが圧倒的におもしろい。しかし、カメラがゴテゴテするのはイヤだ、という意見もあるだろう。そこでシンプルなソフトレリーズボタンの出番となるわけだが、シンプルとチープは似て非なるもの。安いからシンプルなのではなく、シンプルを極めしものを選びたい。たとえば、Chih-Ta Chenの真鍮削り出しソフトレリーズボタンのように。
Chih-Ta Chenは台湾のブランドで、このソフトレリーズボタンが同社発のカメラアクセサリー製品となる。一見するとノーマルな真鍮製ソフトレリーズボタンだが、側面の綾目のローレットに注目してほしい。ライカM3のシャッターダイヤルをモチーフにしているのだ。デザインだけでなく面取りが実にていねいで、ローレットに触れても指先に刺さるような感覚はない。上面の窪みも滑らかな曲線を描き、指の腹が自然と納まる。ライカM10に装着したところ、低い位置に止まって操作フィーリングも上々だ。ちなみに、ライカM(タイプ240)とX-Pro1でも低い位置に装着できた。厚さ2mmと4mmの2タイプがあり、撮影スタイルや押し心地の好みで選ぶといいだろう。
はじめてのこのソフトレリーズボタンを手にしたとき、画鋲を思い出していた。長らくこれを使い込むと、小学校の掲示板に忘れ去られた画鋲のように、渋い光沢を宿すのだろうか。真鍮のエイジングにも期待したい。