CP+2019 Camera Accessories
CP+サプライズ探しの旅

Wotancraft Commander 写真・文=澤村 徹

 

最近のCP+は事前リークが多い。大手メーカーは軒並み新製品の情報を開示し、ブースの展示は情報の確認作業だ。CP+でサプライズと出会いたいなら中小ブースに限る。そんなCP+サプライズ探しの旅をレポートしよう。なお、マウントアダプターとMFレンズについては、デジカメWatchに掲載した「マウントアダプター&MFレンズのマニアックな世界」をご覧いただきたい。

 

【Wotancraft】
トップバッターはWotancraftだ。日本ではオリエンタルホビーが代理店になっている台湾のカメラバッグメーカーである。今回、CP+に初出展すると情報を得て、楽しみにしていたメーカーだ。というのも、実は2012年に同社のカメラバッグを個人輸入で購入したことがある。最近はミリタリー色の強いカメラバッグを展開している同社だが、当時はビンテージテイストを基調とした製品をリリースしていた。昔のWotancraftと今のWotancraft、果たしてどんなちがいがあるのか。

 

Wotancraft Trooperは今回の展示でもっとも注目を集めていたショルダー型カメラバッグだ。

 

Wotancraftの主力商品はTrooperシリーズだ。ショルダータイプのカメラバッグで、5サイズ展開と実にきめ細かい。外観のかっこよさ、カメラバッグとしての機能性、どちらもトップクラスの製品だが、中でもマテリアルのセレクトに同社の強みを感じる。ファブリックは一見するとウォッシュドコットンのようだが、実は撥水性と耐久性にすぐれたコーデュラベースのオリジナル素材だ。また、オプションのオーガナイザーやカードホルダーをベロクロで着脱できるのだが、このベロクロが毛羽立ちのないタイプなのだ。ベロクロは便利な素材である反面、かぎ爪が密集した姿がどうにも興醒めである。フラットなベロクロという細部にわたって妥協しないマテリアル選びに、同社の大きな成長を感じる。

 

Wotancraft Commanderはバックパックタイプのカメラバッグだ。ショルダーベルトの作りが強烈なほどに重厚で、うっかり衝動買いしそうになった。スイス軍のバックパックをデザインモチーフにしているという。

 

実のところ、2012年に購入したカメラバッグはこのマテリアル選びがあまりうまくなかったのだ。外観と機能性は気に入っていたのだが、インナークッションにヘリンボーンのファブリックを使用し、これが原因でカメラやレンズに埃が付いてしまう。ショルバーパッドの裏はウール風の素材で、使い込むと毛玉が発生した。おそらく当時流行っていたオーガニック的なアプローチだったと推測するが、実用性とうまく噛み合っていなかったのだ。こうした当時と比べると、現在のWotancraftはあれから多くのことを学び、成長したのだなと実感する。いま、一番使ってみたいカメラバッグだ。

 

2012年に購入したWotancraft Urban Classic 005 Safari。手元の資料によると、送料込みで429ドルだった。

 

裏側にWotancraftの刻印がある。このカメラバッグ、果たして日本で持っている人は何人いるのか(汗)。

 

【Nitecore】
NitecoreもCP+初出展となるメーカーだ。2007年設立のLEDライトとUSBバッテリーチャージャーを得意とする中国メーカーである。昨年、ライカマイアミストアでライカM8用の同社製USBバッテリーチャージャーを買い、愛用している。M8用の純正充電器はあり得ないほど大きく、その後小型充電器が登場したものの、こちらはあり得ないくらい高い。そんなわけで、互換バッテリーチャージャーに手を出した。いまのところ問題なく使用できていて、互換バッテリーほどナーバスにならなくても大丈夫なようだ。

 

ライカM10用のUSBバッテリーチャージャー。バッテリー2個を同時に充電できる。

 

ソニー用のUSBバッテリーチャージャー。液晶パネルで充電の進捗状況を確認できる。

 

愛用しているメーカーの初出展ということで期待してブースを訪れたのだが、充電器がただ並んでいるだけで、だからどうした状態だ。うん、知ってた、わかってた。一応、ライカM8用を持ってるんだと伝えてみても、話が盛り上がるわけでもなく、営業スマイルと意味のないうなずきに心が折れた。そう、充電器って充電するだけだから、びっくりするほど語ることがないんだよね。挙げ句の果てはLEDライトの新製品を手渡させ、おまえも試しに点けてみろと。そりゃ、一応点けてみたけど、白く輝くLEDライトを前にどんなリアクションが正しかったのだろうか。いまだに正解は見つからない。

 

【BAMBI】
BANBIはここ数年、継続的に出展している国内のカメラストラップメーカーだ。本業は時計バンドの製造である。今回の出展では新マテリアルのスペクトラファイバーで作ったストラップが興味深かった。耐切断に優れ、ハサミを入れても切れない(実際に試させてもらった)。また、摩擦や防汚にも優れているそうだ。取材した話をまるっとまとめると、「カメラストラップって洗わないけど、あれってどうなの?」ということに対する答えのようだ。

 

スペクトラファイバーを自社でベルトに織り、カメラストラップに仕上げた。耐切断性能が良すぎて加工が大変だったそうだ。

 

夏場、カメラストラップは汗まみれになる。しかし、ストラップを洗濯するという話はあまり耳にしたことがない。実態はひと夏越せばストラップは汗をたっぷり吸い込み、べたつき、臭いを放つ。でも、誰もがそれをないことにしている。ウォシュレット以前のお尻が紙で拭くだけできれいとされていたように。BAMBIの告発により、カメラストラップの衛生問題勃発である。カメラバッグのショルダーストラップもかなりやばいだろう(筆者のDomkeのショルダーベルトは塩吹いてます)。

 

冗談はさておき、今後、カメラメーカー純正のストラップは防菌もしくはウォッシャブルなものに置き換わっていくかもしれない。BAMBIがスペクトラファイバーで「普通のストラップ」を作った意図も、そのあたりにありそうだ。

 

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