CP+2025 Maniac Report
今年は宿り木がある

写真・文=澤村 徹


今年は大丈夫だ。去年は寂しいCP+だった。マウントアダプターや中国製レンズ関係の出展が少なく、一体どこを見て回ればいいのか、居場所のなさがハンパなかった。ただ、今年は大丈夫だ。我らが焦点工房が、しかもけっこう大きなブースで出展している。宿り木のあるCP+、いま幸せを噛みしめている。

コシナから見ていこう。いつも参考出展でわれわれを楽しませてくれる同社だが、今年はいつにも増して本数が多い。特にミラーレス用のオータスは困る。オータスの凄さは十分に理解しているのだが、「あれは一眼レフ用だから」という買わずに済ますいい口実があった。ミラーレス用が出てしまったらもうストッパーがない。自分に言い訳できない。


参考出展といいつつ、たいてい製品化してくれるのがコシナのいいところ。発売日までにおこづかいを貯めやすい。

ミラーレス用のオータス50mm F1.4。ソニーEにするかニコンZか、それで悩んでいる。

アポランターは35mmをプライベートで愛用している。28mmもきっといい目に合わせてくれるにちがいない。買わない理由が見つからない。

F1.2の35/40/50mmが一気にリニューアル。なあもうどうしたらいいと思う?

焦点工房は過去イチ広いブースでの出展となった。取り扱いブランドが多く、オールドレンズや中国製レンズが好きな人にはたまらない空間だ。現行レンズの洗礼で心が疲れたら、ここに来ればいい。オールドレンズファンにとって心のオアシスだ。ただ、S21オマージュがしれっと置いてあり、魔窟感がハンパないことになっていた。

焦点工房ブースは厳密には3つの代理店の合同出展となっている。展示している製品数が尋常じゃない。

Angenieux 50mmF1.5 S21のオマージュレンズ。LIGHT LENS LABの守備範囲が広がりすぎてヤバイ。Mとあるから距離計連動するのか。お金貯めないとな。

海鴎の二眼レフが鎮座している。これもLIGHT LENS LAB。どこへ向かおうというのか。

Mr.Dingの35mm F1.8。この製品はけっこう完成度がいいとのこと。

シャッタースピードダイヤルが展示してあった。文字通り、シャッタースピードダイヤルなのだ。ダイヤルの回転フィーリングを楽しむためのアイテム。ついにカメラはギミック単位に解体される時代を迎えた。

画質で攻めるならVILTROX。画質とAFの両面で、中国勢のなかで頭ひとつ抜きん出ているという。

カメラホリックで何度か紹介したことのあるズノンが、CP+に初出展していた。ゾーンプレート、ピンホールといったレンズレス光学製品。極薄フィルムに凹凸をつけるという高度な技術を要する製品だ。普通のレンズよりかなり安いので、手軽に試せるのがありがたい。

ズノンのブースは壁にたくさんの作例が。プレートによって描写が変わり、そのちがいを確認できる。

ズノンは開発時点から取材をしていたのだけど、いつも借りるのは試作品。製品版のパッケージをはじめて見た。すごく高級感がある。

今回のCP+で改めて実感したのはレンズシーンの転換期だ。まずシネレンズを展開するメーカーが明らかに増えた。また、中国メーカーはこぞってAFレンズに参入。勢いを感じる一方でスチル派としては寂しさもある。ちなみに、会場には動画をやっているインフルエンサーがたくさんいたので、シネレンズやジンバル関係はけっこうな盛況ぶりだった。

あのロモグラフィーがシネレンズをリリース。ミラーレス用のペッツバールにフォローフォーカス用ギアを搭載している。

これはPLマウントのペッツバール。かなり高額でプロ向けです、という別の人に説明していた話を横で聞いていた。

7Artisansが単独でブースを出していた。7Artisans 50mm F1.1で中国製レンズブームを巻き起こした同社だが、いまやAFレンズを多数リリースしている。

このシネレンズも7Artisans製。50mm F1.1から隔世の感がある。

SIRUIのブース、シネレンズの並びにスチル用っぽいミラーレス用レンズが。白鏡胴がかっこいい。

Harloweのブースで見つけたセルフィー用のLED。ここの製品はひとつ持っているのだけど、相変わらずデザインがいい。使いもしないのにほしくなる。ちなみに、全編英語の解説に日本語で受け答えし、それでも意思の疎通がとれた(と思っている)謎のコミュ力を発揮してみた。

ヨセミテストラップが初出展。よくあるクライミングロープのストラップだが、国内製造にこだわっているという。

TILTAのブースでドレスアップアイテムが。木製グリップ付きのケージにストラップが付属というオールインワンドレスアップアイテム。デジカメドレスアップ主義をやってた頃なら即貸出依頼していた。

最後に告知もかねて出版社ブースを。まずは玄光社。新刊「モノクロRAW現像読本」が会場で購入可能。というか、CP+での販売に合わせてこの本は執筆した。締め切り厳守のなかなか胃の痛いお仕事なのだ。もうひとつはカメラホリック。今回、金曜日からカメラホリックレトロ3冊セットをお得価格で販売することが決定。レトロシリーズはだいぶ攻めたオールドレンズ本なので、マニアにお薦めしたい。CP+のお土産にぜひ。

「モノクロRAW現像読本」はLightroom Classicでモノクロ編集を学べる一冊。特典はオリジナルプリセットの無料ダウンロード。

カメラホリックレトロシリーズ、三冊まとめて8000円ぽっきり。カメラホリックブースだけの特別価格で販売とのこと。