FOTGA FADER ND IR FILTER
バリアブル赤外フィルターを試す

FOTGA FADER ND IR FILTER 52mm 写真・文=澤村 徹

 

最近、バリアブルNDフィルターが人気だ。一枚のフィルターで徐々に濃度が変わり、光量を自在にコントロールできる。大手フィルターメーカー製はけっこうなお値段なのだが、中国製のバリアブルNDフィルターは激安だ。もちろん、理由がある。数年前、出始めのバリアブルNDフィルターに手を出したのだが、色調に影響が出て使いものにならなかった。RAW現像でホワイトバランスを調整すれば使えなくもないが、画質劣化がひどかった。あれ以来、中国製のバリアブルNDフィルターと聞くと、つい眉をひそめてしまう。

そんな中、反省もなく中国製バリアブルIRフィルターを買ってみた。NDならぬIRである。透過光を530nmから750nmで無段階に調整できるという。中国製バリアブルNDで痛い目にあっているだけに、まともに赤外が撮れるのか、ものすごく不安だ。メーカーはFOTGA。AmazonやeBayでよく見かける中国のカメラアクセサリーブランドだ。今回、eBayで入手し、送料込みで約25ドル(2,800円)だった。普段、赤外撮影で使っているHOYA R72よりはるかに安い。不安がますます募る。

 

フィルターの上段を回すと、530nm~750nmの範囲で透過光を制御する。530nmは近赤外で、若干の可視光線を含んだ赤外光。750nmはほぼ赤外光だけを透過する。

 

ライカM8でFOTGA FADER ND IRをテストする。ライカM8はセンサー前の赤外線カットフィルターが薄く、赤外線フィルターをレンズに付けると赤外線写真が撮れる。

 

早速実写だ。ボディはLeica M8、レンズはG Biogon T* 28mmF2.8(ライカMマウント改造)だ。ステップダウンリングを介してFOTGA FADER ND IR(W)52mmを装着。フィルターリングをまわして透過量を調節しながら撮影した。撮影カットは以下の順に並べている。

1枚目:撮って出し
2枚目:ホワイトバランス調整
3枚目:カラースワップ

透過量は530nm、650nm、750nmの順に撮っている。530nmと650nmは近赤外。可視光線はやや多めの設定だ。750nmはほぼ赤外光のみの撮影となる。参考用に定番赤外線フィルターHOYA R72で撮ったカットも掲載した。さて、ちゃんと赤外線写真が撮れるのだろうか。

 

【FOTGA FADER ND IR 530nm】

 

【FOTGA FADER ND IR 650nm】

 

【FOTGA FADER ND IR 750nm】

 

【HOYA R72】

 

いかがだろうか。ちゃんと赤外写真が撮れている。葉の部分が明るい。近赤外(530nmと650nm)では青みをともない、カラースワップでアンバーになる。750nmは赤外光のみなので、ホワイトバランスを整えるとほぼモノクロ赤外だ。HOYA R72と比べても遜色のない赤外写真である。近赤外の色の残り方は好みが分かれる気もするが、正真正銘、赤外線写真が撮れた。フルスペクトラムの改造ボディと組み合わせたら楽しそうだ。

 

FOTGA FADER ND IR FILTER