Light Lens Lab 35mm F2
周八枚と呼ばれる8枚玉クローン

Light Lens Lab 35mm F2 周八枚 写真・文=澤村 徹

 

周八枚というレンズがライカユーザーの間で話題になっている。いわゆる8枚玉クローン、Summicron 35mmF2 1stを復刻した中国製のレンズだ。復刻プロジェクトの発起人、周氏の名にちなんで周八枚と呼ばれている。

この8枚玉クローンは相当な人気で、LHSAで話題になるほどだ。見ての通り、外観は8枚玉そっくり。レンズ構成は無論、ガラス材にも徹底してこだわり、オリジナルに忠実な描写性能を目指している。少数生産のため、販売は限られたライカコミュニティーの中でのみ行われているという。筆者は知り合いに無理をいって手配してもらった。

 

無限遠ロック付きのシルバークローム鏡胴。話によると、ブラックペイント、チタン、ゴールドなどのバリエーションがあるらしい。

 

周八枚にIROOAを装着してみた。このフードをライカ製以外のレンズに付ける日が来るとは。見た目はマンマ8枚玉だ。

 

中国製品はパッケージが豪華なものが多い。周八枚はオリジナルデザインのメタルキャップが付属。外箱も金属製という豪華な仕様だ。

 

語りたいことは色々あるのだが、とりあえずは試写結果を見てもらいたい。ポイントは、8枚玉に似た描写か否か。さて、どうだろう。

 

Leica M10 + Light Lens Lab 35mm F2 絞り優先AE F2 1/500秒 ISO200 AWB RAW 8枚玉は優秀な写りに定評があるが、実は開放だと滲みこそしないがやわらかい描き方だ。そのわずかにやわらかい感じがちゃんと再現されている。

 

Leica M10 + Light Lens Lab 35mm F2 絞り優先AE F2 1/500秒 -0.67EV ISO200 AWB RAW 後ボケ、前ボケともに8枚玉にそっくり。後ボケのちょっと硬いボケ方は相当似している。

 

Leica M10 + Light Lens Lab 35mm F2 絞り優先AE F2 1/4000秒 ISO200 AWB RAW 8枚玉の発色は、地味で重いという特徴がある。その感じが周八枚からも伝わってくる。地味でリアリティのある発色だ。

 

Leica M10 + Light Lens Lab 35mm F2 絞り優先AE F5.6 1/90秒 -0.67EV ISO200 AWB RAW F5.6まで絞ると周辺までシャープに写る。わずかに樽型歪曲が残るか。
Leica M10 + Light Lens Lab 35mm F2 絞り優先AE F2.8 1/4000秒 ISO200 AWB RAW 今回の試写で一番気に入ったのがこのカット。シャドウの粘りがいい。影の奥からディテールがヌッと顔を出す感じ。たまらない。

 

10年ほど前、良品のメガネ付きの8枚玉を手に入れた。それを使い込んだ経験を踏まえた上で、本当に8枚玉に寄せてきたなあと実感する。いまどきの中国の光学技術をもってすれば、写りのいいレンズはいろいろと作れるだろう。ただそうではなく、特定のレンズの描写に寄せるという根気がすごい。周八枚についてはいろいろとエピソードがあり、そのたりも含めて改めて雑誌に記事を書くつもりだ。とりあえずは周八枚のファーストインプレッションとして、中国の復刻レンズが想像以上にイケてることをお伝えしたかった。