FUJIFILM GFX 50R with OLD LENS
スーパーアンギュロンを試す勇者はいないか?
中判デジタルとオールドレンズ、この組み合わせは流行らない。筆者が責任編集している「オールドレンズ・ライフ」シリーズにて、中判デジタルとオールドレンズというテーマは幾度か取り上げてきた。が、読者の反応は芳しくない。なぜか? それはふたつの理由が考えられる。
まずはイメージセンサーのサイズだ。中判と言ってオールドレンズ好きが真っ先に思い浮かべるのは、やはり6×6判だろう。ハッセルブラッド、ペンタコンシックス、これらのレンズを本来の画角で使ってみたい。解像力以上に、中判ならではの被写界深度の浅い表現に憧れる。ただ、中判デジタルのイメージセンサーは、6×6判の大きさに遠く及ばない。35ミリ判レンズをAPS-C機で使っているようなものだ。
ふたつ目はボディ形状だ。中判デジタルの多くは、要三脚で腰を据えて撮るスタイルが大半だ。一方、オールドレンズ撮影はスナップが主用途だろう。あの大型ボディでスナップするのはさすがに無理がある。だからこそ、富士フイルムGFX 50Rの登場はオールドレンズファンにとってどうにも心がザワつくのだ。
レンジファインダースタイルと名付けられたGFX 50Rは、有り体に言うとM型ライカ風の中判デジタルだ。M型ライカよりひとまわり大きいが、中判デジタルとしてはスマートなスタイルである。フラットボディが功を奏し、マウントアダプター経由でレンジファインダー機用レンズを付けるととてもバランスが良い。広角や標準レンズだとケラレが発生するが、中望遠ならケラレないことが多い。また、35ミリフォーマットモードに切り替えれば、35ミリ判レンズをケラレなしで使用できる。GFX 50Rなら、「中判デジタルでオールドレンズ」もアリという気がしてくる。
実のところ、GFX 50Rでぜひとも試したいオールドレンズがある。それはライカMマウントのSuper-Angulon-M 21mmF3.4だ。ライカの名広角レンズだが、後玉が飛び出している上に口径が大きく。α7シリーズでは内部干渉してしまう。デジタルM型ライカなら装着こそ可能だが、後玉が露出計のセンサーを覆ってしまうため、露出が暴れて描写が安定しない。また、周辺部のマゼンタかぶりも無視できないだろう。とにかくデジタルカメラと相性の悪いレンズなのだ。
そんなスーパーアンギュロンだが、GFX 50Rなら撮影できるかもしれない。スーパーアンギュロンの後玉の直径は約30ミリほど。GFX 50Rのイメージセンサーの縦方向は32.9ミリあり、センサー外周部との干渉は避けられそうだ。サイレント撮影であればシャッター幕との干渉も心配ない。あとは35ミリフォーマットモードで撮影した際の画質如何だろう。ただし、後玉がイメージセンサーに接近するのは確実なので、おいそれと試せない。中判デジタルでオールドレンズ、GFX 50Rでスーパーアンギュロン。人柱、もとい、勇者求む。