Nikon Z 7 and SHOTEN LM-NZ
ニコンZ 7と広角オールドレンズの相性
ニコンのフルサイズミラーレス、ニコンZ 7が発売になって2週間、早くもサードパーティーメーカーからマウントアダプターが登場した。意外なことに、KIPONでもK&F Conceptでもなく、焦点工房のオリジナルブランドSHOTENが一番乗りだ。SHOTEN LM-NZ(ライカMマウントレンズをニコンZマウントボディに装着)を借りることができたので、気になるアレを試してみることにした。そう、ショートフランジの広角オールドレンズテスト、周辺部の色かぶりと像の流れのチェックだ。
1本目のレンズはGR Lens 21mmF3.5だ。個人的に、このレンズは周辺描写チェッカーだと思っている。フィルム時代は周辺までかっちりシャープに写るレンズとして定評があったが、デジタルでは結像が甘く、さらに周辺の色かぶりがひどい。デジタルカメラと相性の悪い広角レンズのひとつだ。α7IIIでは色かぶりこそ解消していたが、依然周辺像が流れがちだった。ニコンZ7ではどうだろうか。
全体カットと周辺部の切り出しを並べてみた。まず、周辺部の色かぶりはほぼなかった。いろいろなシーンを撮ってみたが、周辺部がマゼンタやアンバーに偏ることはない。そして周辺像が大健闘している。くっきりシャープとまではいかないが、少なくとも流れている印象はない。GR Lens 21mmF3.5について、既存のボディとニコンZ7の関係は以下のようになる。
周辺の色かぶり
Nikon Z 7 > α7III > Leica M10
周辺像の流れ
Nikon Z 7 = Leica M10 > α7III
※左ほど良好な状態。
ニコンZ 7はショートフランジ広角オールドレンズのベースボディとして、頭ひとつ抜きん出た存在だ。この描写を裏付けるような記事がある。Kalarivisionが公開したNikon Z 7のバラし記事だ。この記事の終わりの方に、イメージセンサー前のフィルターガラスについての記述がある。α7系のフィルターガラスに比べ、ニコンZ 7は半分程度の薄さだそうだ。昨今、周辺描写の劣化については、フィルターガラスの厚みが悪さしているという見解が定着しつつある。ニコンZ 7はそうしたトレンドを踏まえた仕様になっているのかもしれない。
2本目はRussar MP-2 20mmF5.6だ。ロシアオリジナル設計のレンズということもあり、人気の広角オールドレンズである。ただし、デジタルカメラではマゼンタかぶりがひどくて使いモノにならなかった。ニコンZ 7との組み合わせでは色かぶりはなし。周辺解像力も概ね良好だが、最周縁部はぼやけるような描き方だ。これはルサール自体の周辺の甘さだろう。こちらも既存ボディとの関係性をまとめておこう。
周辺の色かぶり
Nikon Z 7 > α7III > Leica M10
周辺像の流れ
Nikon Z 7 = α7III > Leica M10
※左ほど良好な状態。
問題児2本を試したのみだが、ニコンZ7とショートフランジ広角オールドレンズの相性はかなり良さそうだ。もし、今後発売になるニコンZ 6でも同様の結果が得られるなら、広角オールドレンズのためにニコンに乗り換えという線も見えてくるだろう。同時に、EOS Rと広角オールドレンズの相性も気になるところだ。
ちなみに、ニコンZ 7のカメラとしての完成度はすばらしいものがあった。α7IIIは高性能キャプチャーデバイスという印象だが、ニコンZ 7は良くも悪くも頑なにカメラだと感じた。世間ではライカM10-Pのサイレントシャッターがすばらしいと評判で、筆者も試写して良いフィーリングだと思った。でも、ニコンZ 7のシャッターは当たり前のようにその域をクリアしている。女子力ならぬカメラ力とでも言おうか、つくづくニコンはカメラづくりがうまいと実感した。