SONY A7III with Old Lens
オールドレンズに最新機はいらない、と誰が言った?

SONY α7III + Summaron 2.8cmF5.6 + TECHART LM-EA7 写真・テキスト=澤村 徹

 

オールドレンズは言わずもがな、数十年前のレンズだ。現在のレンズと比べて解像力は低く、もちろんAFにも対応していない。そうしたレンズをデジタルカメラで使う際、果たして最新機は必要なのか。以前であれば、「否」と答えていた。画質的にも操作面でも、最新機にすぐさま乗り換えるメリットはそれほど多くなかった。翻って今、その問いには「必要」と答えたい。事実、ソニーα7IIIを予約し、発売初日から使っている。筆者の撮影は9割以上がオールドレンズなのに、なぜα7IIIを速攻入手したのか。それには明確な理由がある。AFマウントアダプターの使い勝手に格段の差が出るからだ。

 

α7IIIにLM-EA7を装着。ファームアップ前だが、一応AFで撮影が可能だった。瞳AFもそれとなく動作している。

 

ソニーEマウント用のマウントアダプターには、キヤノンEFレンズをAF動作させる製品がかねてから存在していた。ただし、以前のAF対応キヤノンEFマウントアダプターは実用とはほど遠い仕上がりだった。装着するレンズによってパフォーマンスが大きく異なり、しかも合焦すればラッキーという程度のAF精度だ。当時のAFマウントアダプターを使った作例撮影は苦労の連続だった。

そうした中、α7IIの登場が転機となる。α7IIは像面位相差AFに対応し、同機能に対応したAFマウントアダプターが続々と登場する。そのAFパフォーマンスはかつての製品と比べものにならないスピードだった。劇的、という言い方をして支障ないほどのAF性能アップである。AFマウントアダプターというサードパーティー製品を通じて、像面位相差AFボディの優秀さをまざまざと見せつけられた瞬間だ。

そしてこの頃からAFマウントアダプターにも大きな変化があらわれる。ライカMレンズをAF化するTECHART LM-EA7、Fringerのコンタックス645ならびにコンタックスN用AFマウントアダプターなど、オールドレンズをデジタルカメラでAF動作させる製品が増えてきたのだ。α9、α7RIIIの登場に合わせ、AFマウントアダプターの最新ファームウェアが公開になる。進化した像面位相差AFボディにより、AFマウントアダプターの快適さはますます向上した。像面位相差AFの進化とAFマウントアダプターの快適さがシンクロする。そうした最中に、満を持してα7IIIは登場したのだ。

 

α7IIIはISOオートの下限シャッタースピードが設定できるようになった。地味な機能だが、筆者が長らく待ち焦がれていた機能のひとつだ。

 

α7IIIの像面位相差AF測距点数はα7RIIIより多く、α9と肩を並べる。TECHARTやFringerのAFマウントアダプターを使うなら、α7IIIはコストパフォーマンス抜群のベースボディである。TECHART LM-EA7はオールドレンズユーザー必携と言えるほどに普及しており、α7IIIに最適化されたファームアップに期待がかかる。オールドレンズのAF化という兆し、そしてそのための最強ボディα7III。オールドレンズに最新ボディは不要という認識は、おそらく過去のものになるだろう。

 

SONY α7III
TECHART LM-EA7
Fringer FR-C6SE