INDUSTRIA★ IND-550
ハードイメージのシルクストラップ

INSUATRIA★ IND-550

昨今、アウトドアロープを使った丸紐ストラップがその数を増やしている。安価な素材のわりに申し分ない耐重性を備え、カメラストラップとして製品化しやすいからだ。ただし、肌触りを優先するならば、もっとやさしいマテリアルを選びたい。インダストリアのIND-550は、アウトドアロープの対極にあるシルク製の組紐ストラップである。

シルクの組紐ストラップというと、アルティザン・アンド・アーティストの製品が有名だ。インダストリアのIND-550は後発となるわけだが、アルティザン・アンド・アーティストの組紐ストラップと上手に棲み分けができている。特徴的なのが両端の取り付け部分だ。レザーを太いクロスステッチで縫い上げ、二重リングにマットブラックの塗装を施し、かなりワイルドな印象だ。カラーバリエーションは色濃くビビッドなものを揃えている。アルティザン・アンド・アーティストの組紐ストラップがジェントルなスタイルであるのに対し、インダストリアのIND-550はバイカーズやロッカーを彷彿とさせる。同じシルク製組紐ストラップでありながら、こうもスタイルを変えられるものかと驚かされる。

 

太い糸でクロスステッチが施してある。IND-550のハードイメージを決定付ける意匠だ。

実のところ、これには理由がある。インダストリアのデザイナーは、元アルティザン・アンド・アーティストのデザイナーなのだ。似て非なるシルク組紐ストラップの開発は、言うなれば、自分の記録を自分で塗り替えるような作業だったのかもしれない。

このストラップをカメラに付けてテンションをかけると、キュッキュッと絹擦れの音がして伸縮する。まるで弾力素材のような伸縮具合だ。元々この組紐は帯紐として作られたもので、呼吸に合わせて伸び縮みするのだという。同社デザイナーからこの話を聞き、改めてマテリアルへのこだわりを感じた。この伸縮性のおかげで、ストラップを手首に巻き付けても窮屈にならない。首から提げたときもほどよくテンションがかかる。なお、カメラストラップに関しては、伸縮派とアンチ伸縮派のふたつに好みが分かれるものだ。インダストリアのIND-550は伸縮派だとおぼえておこう。

 

シルクは手触りの良さは言うまでもなく、見た目の上品な光沢感も魅力だ。

最後に二重リングに触れておこう。IND-550の二重リングは、一般的なそれよりも細くてひとまわり小さい。これは富士フイルムXシリーズ対策だ。富士フイルムXシリーズはどういうわけか、新型機が出るたびにストラップ取り付け部の穴が小さくなっている。通常サイズに二重リングは取り付けに相当苦労し、仮にうまく装着できても、リングの動きが渋くて扱いづらい。富士フイルムXシリーズはストラップメーカー泣かせなカメラだ。こうした現状に対応するため、IND-550は小振りの二重リングを採用している。富士フイルムユーザーには貴重な選択肢と言えるだろう。

 

富士フイルムのデジタルカメラに余裕を持って装着できる。X-Pro2やX100Fユーザーは要チェックだ。

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