PROPET MONO300N
ストロボの優先事項

PROPET MONO300N 写真・文=澤村 徹

 

モノブロックストロボを買った。最近の流行りはクリップオンだ。ワイヤレスレシーバーを使ってオフカメラで使うのがトレンドらしい。が、モノブロックだ。自分の撮影――カメラやオールドレンズのブツ撮りは、シンプルな昔ながらのモノブロックで事足りてしまう。

実はGODOX AD200Proが気になっていた。これまで使っていたモノブロックは150Wの中国製。GODOX AD200Proのほうが小さいのに出力が大きい。わるくない選択肢だ。ただ、クリップオンストロボはモデリングランプがない。ブツ撮りの場合、モデリングランプがないと困る。レフ板を多用するので、光と影の様子がシミュレートできないと厳しいのだ。

そこでGODOX AD300 Proを検討してみた。これはGODOX社のモノブロックで、バッテリー稼働、ワイヤレスシンクロという、Profotoライクないまどき仕様だ。電源もシンクロもワイヤレスでストレスフリー。出張ブツ撮りだって楽々こなせる。これまで使っていた中国製150Wモノブロックよりはだいぶお高いが、ちょっと夢のあるスペックだ。ただ、どうにも引っかかる部分があるのだ。

以前、クリップオンをワイヤレスでオフカメラにして使っていたことがある。ときどき、ワイヤレスのシンクロがうまくいかないことがあった。このときのストレスがひどい。どうせマニュアル発光で使うからTTLはいらない。ぶっちゃけ強制発光でもどうにかなる。ただ発光してくれればいいのに、ワイヤレスレシーバーの設定がうまくいかなくて発光しない。どんな高機能も発光しなければ意味がない。ストロボはどんな条件でも発光してこそだと思うのだ。

屋内撮影だとバッテリー稼働もほぼメリットがない。モノブロックは所定の位置に固定したままだし、むしろバッテリー交換という手間が増えるだけだ。ジェネレーターはさすがにいらないので、コンセントに差して使えるものがいい。そんなことを考えていくと、いまどき仕様のモノブロックはほぼほぼ候補から消えていった。残ったのは昔ながらのモノブロックだった。

今回、プロペットMONO300Nを購入した。国産のシンプルなモノブロックだ。本体直付けの電源ケーブルをコンセントに差し、シンクロケーブルでカメラと同期する。どちらのケーブルも太く、ハードに取り回しても断線の心配は少なそう。これまで使っていた中国製のモノブロックとくらべ、総じて細部の作りがいい。エントリークラスとはいえちゃんと仕事で使える品質だ。中国製のモノブロックはたいてい2~3年で壊れて買い換えていたが、プロペットはだいぶ長持ちしてくれそう。ブツ撮りのときはF16以上に絞るけど、300Wあれば光量的にも十分だ。ただ、所有するソフトボックスが使えなくなり、スピードリングと合わせて買い換えることになった。たかがストロボ1灯買い換えるだけで、けっこうな出費になってしまった。

カメラの仕事をはじめたばかりの頃、「三脚はいいのを買っておけ」といわれた。だいぶ無理をしてジッツオの三脚とハスキーの雲台を買い、それは15年以上たったいまもメインの三脚として愛用している。モノブロックは安いものをずいぶんと使い潰してきたが、本来ならばいいものをキメ打ちで買い、使い続けるべきだったのかもしれない。

 

PROPET MONO300N