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ulanzi DOF Adapter with iPhone<br> iPhoneでオールドレンズ三昧

ulanzi DOF Adapter with iPhone
iPhoneでオールドレンズ三昧

iPhone7 + ulanzi DOF Adapter + Tessar 3cmF2.8 Robot + ulanzi U-Rig Metal Smartphone Video Rig 写真・文=澤村 徹

 

中国のulanziというメーカーから、iPhone用のDOFアダプターが登場した。レンズマウントにソニーEマウントを採用しているのが特徴だ。勘のいい人はもうおわかりだろう。マウントアダプターを経由してオールドレンズが付け放題。iPhoneでオールドレンズ三昧というわけだ。詳細は後述するとして、まずは実物と作例を見てもらおう。

 

iPhone7 + ulanzi DOF Adapter + Ektar 47mmF2 Leica M modified + SHOTEN LM-SE Macro ライカMマウントのレンズをDOFアダプター経由でiPhoneに装着。オールドレンズファンには感涙モノの姿だろう。

 

Ektar 47mmF2 Leica M modified 木馬の鞍にピントを合わせ、開放撮影した。iPhoneで自然なボケを堪能できる。

 

DOFアダプターを介してiPhoneにライカ用のオールドレンズを装着した。iPhoneの画像とは思えぬ大きなボケがおわかりだろう。この状態でAPS-C相当での撮影が可能で、レンズの焦点距離は1.5倍程度になる。オールドレンズのベテラン勢ならば、ハーフサイズカメラのレンズ、35ミリフィルムムービーカメラのレンズなど、あれやこれやと付けたくなるだろう。ソニーEマウントのiPhone用DOFアダプター、実に夢の広がるアイテムだ。その一方で、我々写真分野の人間には、DOFアダプターなるものがちょっとピンとないのも事実。そのあたりの基本情報も含め、ulanzi DOF Adapterの使用感をレポートしよう。

まず、DOFアダプターについて簡単に説明しておこう。実はこの製品、素のマウントアダプターではない。DOFはDepth of Fieldの略で、被写界深度のこと。「DOFアダプター=被写界深度アダプター」ということになるわけだ。フォトグラファーにはちょっと耳慣れない言葉だろう。これはムービー業界の用語で、被写界深度を稼ぐためのアイテムだ。イメージセンサーの小さいデジタルビデオカメラは、どうしても被写界深度の深いパンフォーカス的な映像になってしまう。そこで被写界深度の浅い絵を撮る装置として登場したのがDOFアダプターだ。

具体的にはアダプター内部にスクリーンを取り付ける。レンズから入ってきた光をスクリーンに投影し、その投影像をデジタルビデオカメラで記録するのだ。こうすると、小さいイメージセンサーでもボケの大きい映像が録れる。ulanzi DOF Adapterはこの仕組みをiPhoneで実現するアイテムだ。

 

アダプター内にスクリーンを内蔵。スクリーンはフレネルレンズを使っていて、表面にたくさんの溝がある。ここにホコリやチリが付着すると取れなくなって実に厄介だ。本製品はスクリーンの前にフィルターを装着し、スクリーン自体が汚れない設計になっている。

 

ちなみに、DOFアダプターは写真業界でいうところのTTV(Through The Viewfinder photography)に似ている。TTVはボックスカメラや二眼レフのスクリーンに投影された像をデジタルカメラで撮影する。年代モノのファインダー像という不鮮明でどこかレトロなイメージを捉える手法だ。被写界深度を浅くするDOFアダプターと目的こそ異なるが、スクリーンの投影像を撮るという点に共通項が見て取れる。2013年に登場したHasselnutsという製品をおぼえているだろうか。Hasselnutsはハッセルブラッドのスクリーン投影像をiPhoneで撮影するシステムだった。あれがTTVを応用したわかりやすいアイテムだ。

前置きが長くなったが、ulanzi DOF Adapterは素のマウントアダプターではなく、あくまでもスクリーンに投影された像を撮影するアダプターだ。オールドレンズの描写をそのままiPhoneで楽しめるわけではない。この点は理解しておきたいところだ。

ulanzi DOF Adapterの仕様を見ていこう。レンズ側のマウントはソニーEマウントで、同規格のレンズに加え、マウントアダプター経由で様々なオールドレンズが装着できる。以前、レンズマウントにキヤノンEFマウントを採用したDOFアダプターがTurtleback社から発売されていたが、これは一眼レフ用オールドレンズこそ装着できるが、レンジファインダー機用オールドレンズはフランジバックの都合で装着できなかった。ulanzi DOF Adapterはフランジバックの短いソニーEマウントなので、レンジファインダー機用のレンズ、端的にいうとライカレンズがiPhoneに付く。これが大きなアドバンテージだ。

 

ソニーEマウントのレンズ、およびマウントアダプターが装着可能。電子接点は搭載していない。ソニーEマウントはマウントアダプターが豊富にあり、様々なオールドレンズが装着できる。

 

ボディ側は17mm径のスクリューマウントになっている。これはiPhone用サードパーティーレンズがよく用いている規格だ。17mm径スクリューマウントのあるiPhoneケースやリグに、ulanzi DOF Adapterをねじ込んで固定する。ulanzi DOF Adapterの後端にマクロレンズが組み込まれており、iPhoneでulanzi DOF Adapter内部のスクリーンにピントが合うように設計されている。ちなみに、ulanzi DOF Adapterにマウントアダプターとオールドレンズを付けるとそれなりの重量になる。iPhoneケースよりはリグの方が安心だろう。

 

DOFアダプター後端は17mm径のスクリューマウントになっている。マウント内のレンズはスクリーンに合焦させるためのマクロレンズだ。

 

17mm径スクリューマウントを備えたiPhone用のリグを用意する。ここのDOFアダプターをねじ込む。

 

ねじ込み式なので、レンズの正位置が常に真上にくるとはかぎらない。そのためulanzi DOF Adapterは調整機構を搭載。側面のツマミを緩めると、アダプター上部が回転して位置を調節できる。

 

実はDOFアダプターを使う際、撮影についてちょっとした工夫が必要だ。スクリーンの投影像を投影する都合上、像が上下逆さま、いわゆる逆像になってしまうのだ。つまり、スマートフォン標準のカメラアプリだと、画面が逆像になってしまう。無論、撮影自体は可能だが、構図を決めるのに苦労するだろう。そこで、撮影像を正像にしてくれるカメラアプリを使う。今回はProCameraというアプリを使った。逆像を正像にするには事前に設定が必要で、「設定」→「高度な設定」→「ミラーリングオプションメニュー」をオンにする。これで手動ミラーリングコントロールができるようになるので、正像にセットして撮影しよう。

さあ、お待ちかね、実写結果をご覧いただこう。ulanzi DOF AdapterはiPhoneでAPS-C相当の撮影が可能だ。このイメージサークルにマッチするオールドレンズとして、35ミリフィルムムービーカメラ用レンズ、ハーフサイズのペンFマウントレンズ、35ミリフィルムにスクエアフォーマットで撮るロボットマウントレンズなどをセレクトした。これらのレンズであれば、iPhone+ulanzi DOF Adapterの環境でレンズ本来の画角を楽しめるはずだ。なお、作例はすべて開放で撮影している。

 

PO3-3M 50mmF2 Leica M modified ロシア製の35ミリフィルムムービーカメラ用レンズ。いわゆるシネレンズだ。ライカMマクロアダプターと組み合わせている。

 

iPhone7 + PO3-3M 50mmF2 Leica M modified + ulanzi DOF Adapter フルサイズ環境ではケラレがちなレンズだが、APS-C相当ならイメージサークルをカバーできる。元々高画質タイプのレンズなので、なだらかなボケだ。

 

G.Zuiko Auto-S 40mmF1.4 ペンFマウントの大口径標準レンズだ。一眼レフ用のレンズなので、最短35センチまで寄れる。オーバーインフ環境でもそれなりに被写体に寄れる仕様だ。

 

iPhone7 + G.Zuiko Auto-S 40mmF1.4 + ulanzi DOF Adapter ハーフサイズカメラ用レンズのイメージサークルはAPS-C相当。ケラレなしに撮影できた。それにても開放F1.4のボケは圧巻だ。スクリーン投影像も相まって、スリリングな描写になっている。

 

Xenon 50mmF2.3 アリフレックススタンダードマウントの35ミリフィルムムービーカメラ用レンズだ。シュナイダー製の高性能レンズである。

 

iPhone7 + Xenon 50mmF2.3 + ulanzi DOF Adapter このレンズもイメージサークルがAPS-Cをカバーしており、隅々までクリアに撮れる。開放でも隙がなく、さすがはクセノンだ。

 

Tessar 3cmF2.8 ロボットマウントの広角レンズだ。ロボットは35ミリ判フィルムにスクエアフォーマットで撮影するカメラだ。

 

iPhone7 + Tessar 3cmF2.8 + ulanzi DOF Adapter 周辺光量落ちが多めだが、写真として問題なく成立している。ただし、絞り込むとケラレがきつくなるので要注意だ。逆光でやさしくフレアが射し、iPhoneでフレアが撮れるというだけでテンションが上がってくる。

 

どうだろう。DOFアダプターによるオールドレンズ撮影は、あくまでもスクリーンに投影された像を撮影しているにすぎない。しかし、スマホのカメラと一線を画した大きなボケ、そして投影像ゆえの甘い描き方が新鮮だ。オールドレンズそのものの描写をテイスティングするのではなく、オールドレンズという名のエフェクトツールをiPhoneに取り付けるといった印象だ。例えばフレアの出やすいレンズを付ければ、iPhoneでフレアの射す写真が撮り放題になる。iPhone用のDOFアダプター、オールドレンズファンならかなり楽しめるはずだ。

一方、実写していて要改善と思える箇所が2つあった。ひとつめはオーバーインフについてだ。いろいろなマウントのレンズを試したところ、どのレンズもピントリングの1メートルあたりで無限遠に合焦した。多少のオーバーインフは許容範囲だが、これは過剰なオーバーインフだ。そのため、実写ではライカMマクロアダプターを付け、マクロアダプター側のヘリコイドでピントを調整した。近接の短い一眼レフ用レンズなら、マクロアダプターなしでも無限遠から中遠距離あたりまでどうにかピントが合うといった状態だ。マウント面とスクリーンの距離を今一度測定し直し、レンズの∞マークで無限遠が出るような仕様にしてほしい。

ふたつめはレンズ指標の位置だ。現状、内蔵スクリーンが横位置になるようにDOFアダプターのセットすると、装着したレンズの指標が90度横を向いてしまう。言うまでもなく、レンズ指標は真上を向いているべきものだ。これはスクリーンの取り付けを90度傾けるだけなので、簡単に対処できるだろう。もしユーザー側で直せる構造ならば、その方法を教えてほしい。

この2点さえクリアになれば、ulanzi DOF Adapterは万人向けの製品になる。正直なところ、現状の製品はわかっている人以外にはオススメできない。過剰なオーバーインフにせよ、レンズ指標の傾きにせよ、使い勝手にあまりに影響が大きいからだ。しかし、この点さえ改善できれば、「iPhoneでちょっと人とちがった写真が撮りたい」というカジュアル層でも問題なく使える製品になる。スクリーンをマイクロフォーサーズのセンサーサイズにしたCマウントレンズ版とか、Goodman AAみたいに個性的なスクリーンを搭載してみたり、いろいろと発展型も考えられる。また、ミラーレス機であえてDOFアダプターを使い、スクリーン像の撮影を楽しむという逆転発想もありだろう。ulanzi DOF AdapterはDOFアダプターの可能性を感じさせてくれる製品だ。

 

ulanzi DOF Adapter
ulanzi U-Rig Metal Smartphone Video Rig