Anker vs CIO
撮影旅行のUSB充電事情

写真・文=澤村 徹


最近のデジタルカメラは軒並みUSB-Type C端子を搭載している。その一方でバッテリーチャージャーは未同梱だ。バッテリーの充電はテキトーなUSB充電器でうまくやってよ、というメッセージだろうか。そこでUSB充電環境を整えてみた。目標は撮影旅行の充電器問題一挙解決である。


撮影旅行には各社デジタルカメラの充電器、そしてノートパソコンのACアダプターを携行する。この荷物が案外無視できない量になる。これをUSB充電器で最小限の量にまとめたい。いまどきのノートパソコンはUSB-Type C端子があり、うまくいけばノートパソコンとデジタルカメラでUSB充電器を共有できるはずだ。


左が最初に買ったUSB充電器、Anker 747 Charger(GaNPrime 150W)。右はUSB-CケーブルのAnker PowerLine III Flow。付属のシリコン製ケーブルバンドがすごく使いやすい。


まず購入したのは最大150WのUSB充電器、Anker 747 Charger(GaNPrime 150W)だ。これは4ポートのUSB充電器で、合計出力が150W、単ポートの出力は最大100Wとなる。これに合わせて100W対応のUSB-Type Cケーブル、Anker PowerLine III Flow USB-C & USB-Cを購入した。この組み合わせに以下のデジタルカメラを装着し、USB PDでカメラ内のバッテリーを充電する。


【充電したデジタルカメラ】
α7 IV
Nikon Z f
GFX50S II
Leica M11

USB充電器とケーブルで、各社デジタルカメラの充電が可能。撮影旅行の荷物を大幅に軽減できる。以前は各社のバッテリーチャージャーに加え、モバイルタップも携行していた。


上記4台とも問題なく充電できた。もちろん長期使用したわけではないので、充電して即デジタルカメラが壊れることはなかった、という程度の話だが。それでもとりあえずはAnker 747 ChargerとAnker PowerLine III Flowの組み合わせでデジタルカメラの充電はまかなえるだろう。


次にノートパソコンの充電だ。いま使用しているノートパソコンはマウスコンピュータのDAIV Z4というモデルだ。OSはウィンドウズ11、CPUはIntel Core i7-13700H、GPUはNVIDIA GeForce RTX 3050 Laptop GPUだ。14型モバイルノートとしてはそこそこ性能がよく、Adobe Lightroom Classicが快適に動く。撮影旅行中のパソコン作業は、ピントチェック→レーティング→JPEG書き出しまで。ライブラリーモジュールでライカM11の6000万画素画像がクリックして即ピクセル等倍表示できるパソコンだ(←これ重要)。


DAIV Z4のACアダプターを見ると、150W出力と記載されていた。先のAnker 747 ChargerとAnker PowerLine III Flowの組み合わせだと、単ポートの最大出力は100Wだ。実際に試してみると、Lightroomの動きはひどくモッサリしている。ライブラリーモジュールでプレビューをクリックしても、ピクセル等倍画像を表示するのに時間がかかる。明らかに電力不足だ。


そこでCIOのUSB充電器を買ってみた。SNSつながりの複数名から「USB充電器はCIO一択!」とえらく推されて購入。ほぼ信者といった熱の入りようだったので、CIOはカルト的な人気があるのかもしれない。


左がCIO NovaPort TRIO 140W3C。単ポート140W出力できるUSB充電器だ。これならDAIV Z4に十分な電力を供給できるのか? 左は同社の240W対応のUSBケーブル。どうでもいいことだけど、塵やホコリが付きやすい。


USB充電器はCIO NovaPort TRIO 140W3Cにした。3ポートの総合出力140W、単ポートでも140W出力できる。ノートパソコンのACアダプターが150W出力だったので、そこそこイケるのでは、と期待して購入。USBケーブルはCIO 240W CtoC 1m シリコンケーブルにした。最大240Wまで対応したUSB-Type Cケーブルだ。CIO NovaPort TRIO 140W3Cが単ポート140W出力なので、100WケーブルのAnker PowerLine III Flowだとボトルネックになるかも……と思ってケーブルも新調した。後にわかるが、これはあまり意味がなかった。


さて、CIO NovaPort TRIO 140W3Cでノートパソコンに給電すると、Lightroomの動作がずいぶんと軽くなった。ピクセル等倍表示もすばやく気持ちがいい。ただし、それでもACアダプター接続時の快適さにはかなわなかった。また、100Wケーブルと240Wケーブルを互いに付け替えてみたのだが、USBケーブルによる動作の違いは感じられない。100Wケーブルがボトルネックになっていないということは、単ポートで100W以上出ていないのだろうか?


ノートパソコンにUSB充電器で給電。ACアダプターより軽いのがアドバンテージだが、十分な電力が確保できないと動作パフォーマンスに影響が出た。


ここまで試し、いくつか疑問が出てきた。まず、USB充電器はノートパソコンに対して具体的にどの程度のワット数で給電しているのか。ふたつめは今回USB充電器2つ、ケーブル2本を購入したが、どの組み合わせが一番出力が大きいのか。USB充電器とACアダプターでどの程度のパフォーマンス差があるのか。これらを検証するため、簡易的なテストを行ってみた。


まず、電力を測るためにRoute-RのRT-TC5VABKというUSBチェッカーを用意した。これを接続機器とUSBケーブルの間につなげると、給電する電力が何ワットか表示してくれる。これでワット数をチェックしながらテストを行う。


ルートRのUSBチェッカーRT-TC5VABK。双方向に対応し、向きを気にせず機器と電源の間に取り付けられる。


テスト内容はLightroomによるRAW現像だ。ライカM11の6000万画素画像を10枚一括でJPEGに書き出す。この処理時間をスマートフォンで手動測定。これを3回繰り返す。あくまでも簡易テストなので、数秒の違いは誤差と判断する。大まかな方向性をつかみたい。


【テスト01 純正の電源】
ACアダプター
28.56秒
26.46秒
25.64秒

内蔵バッテリー
27.91秒
28.28秒
27.91秒


最初のテストはノートパソコン純正の電力環境だ。ACアダプターと内蔵バッテリーでJPEG書き出しを測定した。どちらも30秒未満に収まり、大きな差はない。内蔵バッテリーがACアダプターと同等の仕事をしてくれる点は要注目だろう。


【テスト02 Anker製USB充電器】
Anker 747 Charger(単ポート100W出力)
Anker PowerLine III Flow(最大100W)
5分05.18秒
5分06.83秒
5分08.18秒
最大41W

Anker 747 Charger(単ポート100W出力)
CIO 240W CtoC 1m シリコンケーブル(最大240W)
5分05.13秒
5分03.98秒
5分05.28秒
最大39W


2つめのテストは単ポート100W出力のUSB充電器、Anker 747 Chargerに2種類のケーブルを接続して給電した。まず、JPEG書き出しに5分強とかなり長い時間がかかった。明らかにパワー不足であることがわかる。100Wケーブルと240Wケーブルはどちらも同程度の処理タイムで、変化なしという判断でいいだろう。併記したワット数は、USBチェッカーRT-TC5VABKの最大瞬間時の数字だ。どちらのケーブルでも40W前後で、大差なしという結果である。Anker 747 Chargerは単ポート100W出力を謳っているが、ノートパソコンに対しては40W止まりだった。


【テスト03 CIO製USB充電器】
CIO NovaPort TRIO 140W3C(単ポート140W出力)
Anker PowerLine III Flow(最大100W)
1分13.17秒
1分20.91秒
1分04.38秒
最大79W

CIO NovaPort TRIO 140W3C(単ポート140W出力)
CIO 240W CtoC 1m シリコンケーブル(最大240W)
1分18.65秒
1分12.70秒
1分17.32秒
最大83W


最後のテストは単ポート140W出力できるUSB充電器、CIO NovaPort TRIO 140W3Cだ。どちらのUSBケーブルでも1分15秒程度のタイムでJPEG書き出しできた。Anker 747 Chargerよりだいぶ高速な処理だ。USBチェッカーは80W前後の数字を示し、瞬間最大時とはいえ、Anker 747 Chargerの2倍ほどの電力を供給していた。ただし、単ポート140W出力という数字には大きく及ばない。ACアダプターおよび内蔵バッテリーのタイムにもまだまだ差がある。なお、USBケーブルの違いによるパフォーマンス差はほぼ感じられなかった。


ひと通りテストを終え、ノートパソコンDAIV Z4に給電するなら、単ポート140W出力のCIO NovaPort TRIO 140W3Cがいいという結果になった。USBケーブルはどちらを使ってもボトルネックになることはない。ただし、ACアダプターないし内蔵バッテリーとはだいぶ差がある。これをどう考えていけばよいか。


実際の運用を想定すると、画像セレクト(ピントチェックとレーティング)はCIO NovaPort TRIO 140W3CからUSB PDで給電し、JPEG書き出しするときはUSBケーブルを抜いて内蔵バッテリーのMAXパワーで書き出す、という使い方が現実的だろうか。シビアに判断するならば、DAIV Z4に関してはUSB充電器は時期尚早。ACアダプターで運用するのが順当かもしれない。


現時点での結論は、デジタルカメラのバッテリー充電はUSB充電器で問題なし。ノートパソコンについては、要求されるワット数次第といったところだろう。電化製品にとって電源まわりはトラブルになりやすい部分だ。サードパーティー製品を使う時はくれぐれも慎重に判断し、自己責任で行ってほしい。


Anker 747 Charger
CIO NovaPort TRIO 140W3C
Route-R RT-TC5VABK