Shutter Button × Old Lens
シャッターボタンの思想

写真・文=澤村 徹

オールドレンズで拡大表示を使う際、シャッターボタンの半押しで通常表示に復帰できるとすごく便利だ。半押し後、即座に撮影できるから。ただし、これができるかできないかは、メーカーによって異なる。すべてのカメラを試したわけではないけど、ざっと以下のように分かれる。


●復帰できる派
ソニー
富士フイルム
パナソニック
ライカ
シグマ(※1)
ペンタックス(※2)
オリンパス(※3)

●復帰しない派
キヤノン
ニコン

※1 SIGMA fpの場合、半押しキープで通常表示。
※2 読者から復帰可と情報いただきました。
※3 読者からの情報、E-Mシリーズでは復帰可とのこと。


復帰しない派は不便じゃないか、とオールドレンズ使いとしては思うわけだが、「あえて」復帰しないのは想像に難くない。やはりシャッターボタンは特別な場所なのだ。

シャッターボタン半押しで拡大表示から通常表示に戻るということは、シャッターボタンが「1ボタン複数機能」になるわけだ。デジタルカメラはファンクションボタンなどで1ボタン複数機能に対応させることが当たり前に行われているが、一番エライのは「1ボタン1機能」だ。もう一度言う。1ボタン1機能、すなわち専用ボタンが一番エライに決まってる。

つまり、復帰しない派は、シャッターボタンを「撮影」以外に使わせたくない。シャッターボタンは撮影専用ボタンであり聖域なのだ、という思想の表れだと思う。

シャッターボタンは聖域……ちょっとかっこいいな。

このことを踏まえると、復帰しない派はデジタルカメラをあくまでも「写真機」と捉え、復帰できる派はキャプチャーマシンと割り切っているような気がしてくる。写真機としての矜持か、それとも撮影効率か……。シャッターボタンの挙動が、撮影機器としての思想を象徴しているように思えるのだ。

そうしたなか、ちょっと意外なのはライカ。フィルム時代からの伝統を思うと、復帰しない派に属しそうなものだ。ライブビューの挙動に関してはビジネスパートナーのパナソニックの意向が大きいのかな。

最近の僕はα7 IVとライカM11がメイン機なので、シャッター半押し復帰の恩恵に与っている。でも、聖域としてのシャッターボタンもロマンがあってかっこいい。先日、Z fの予約を入れたので、Z fが届いたらロマンあるシャッターボタンと戯れるつもり。


【追記】
シャッターボタン半押しでAEロック、AFロックするから、ほとんどのカメラがシャッターボタンは「1ボタン複数機能」じゃないか――という意見をいただいた。「言われてみればそっかあ」と思ったけど、即座に「いやそれは屁理屈」と目が覚めた。

でも、「撮影と撮影に連なるアクション」という軸みたいなものが見え隠れして、そこに含まれるもの、含まれないものという考え方は示唆的だなあと思った。

つまりどういうことかというと、デジタルカメラにおける、撮影に直結するもろもろのアクション、という軸がある。旧来は「画面復帰」というアクションはここに含まれていなかったけど、今後は含めて考えることが主流になるのかも……。 「1ボタン複数機能」という水平的な考え方じゃなくて、「撮影と撮影に連なる機能」という垂直的な意識。カメラを設計する人にとって、シャッターボタンとはどのような位置付けなのか、機会があれば訊いてみたい。