L’Artec camera grips for Leica M
ウッド×ブラスの相性が最高だった

L’Artec camera grips for Leica M European Walnut 写真・文=澤村 徹

 

M型ライカ用のハンドグリップは、正直なところあまり興味はなかった。取って付けたような純正グリップは気が遠くなりそうだし(過去にM8用を買ってしまったよ)、レザーケースの申し訳程度のグリップがけっこう役に立つし(Leicatimeのぽっこりグリップが最高)、わざわざ買うこともないかな、と。ただ、Leica RumorsでL’Artec camera gripsを見かけ、衝動買いしてしまった。ウッドと真鍮のコンビに心奪われた。

ミッドセンチュリーの家具を持ち出すまでもなく、無機物と有機物のコンビネーションは物欲の快楽秘孔だ。それだけで白飯三杯いけるのに、L’Artecのグリップはウッドベースに真鍮パーツを埋め込むという禁じ手までやらかしている。物欲センサーが完全に振り切れてしまった。300ドルという価格はさすがにひるんだが、買い逃す後悔が勝った。

 

ウッドベースに真鍮パーツがはめ込んである。この姿にひとめぼれした。

 

ウッドの質感がいい。過度に磨き込まず、天然木の素材感を活かしているのがいい。

 

L’Artecはスペインのメーカーで、商品もちゃんとスペインから届いた。ウッド部分は複数の種類があり、今回はヨーロピアンウォルナットを選んだ。実物は写真の200パーセントくらいいい。何がいいかって、磨き具合が抜群なのだ。実のところ、カメラ用の木製グリップはいろいろなメーカーから発売されている。ただ往々にして、ピカピカに磨き込まれてどうにもウソっぽく見えてしまうのだ。この感じ、どう言えばいいだろう。木材がプラスチックっぽく見えると言えば伝わるだろうか。その点L’Artecのグリップは、木材がツンツルテンになる一歩手前でとどめている。この寸止めのおかげで、木材と真鍮の異素材感覚がしっかり伝わってくるのだ。木材のツヤと真鍮の光沢、このちがいがちゃんとわかる。木材のエイジングにも期待が持てそうだ。

 

指を縦方向に寝かす、縦握りしやすいグリップ形状だ。握った状態でシャッターボタンを押しやすい。

 

内側にはクッションを配置。ライカ本体が傷つく心配はないだろう。

 

レザーストラップとソフトレリーズボタンを追加して着飾る。よいと思う。

 

形状については、M型ライカ特有の縦握りをうまくサポートしてくれる。試しにビゾフレックスのHektor 12.5cmF2.5を付けてみたが、安定したホールドスタイルで撮影できた。ちなみに、ビゾヘクトールはイヤになるくらい重い中望遠レンズだ。これを快適に使えたというのはかなりのハイパフォーマンスだろう。ここにEVF(VISOFLEX)を追加しようものならほぼミラーレス気分。さて、ライカのアイデンティティーとは何か。

L’Artec