Torii Koubou α7III Ever-ready Case
システムアップするカメラケース

Torii Koubou α7III/α7RIII/α9 Ever-ready Case 写真・テキスト=澤村 徹

 

鳥井工房のレザーケースは、デザイン性と仕上げの良さで人気を博している。その一方で、機能性に並々ならぬ創意工夫が施されていることを、鳥井工房のユーザーでさえ気付いていない。最新のα7IIIエバレディケースは、鳥井工房の裏テーマとも言える機能性を、これでもかと見せつけてくれる。

α7IIIエバレディケースは、オプションでシステムアップが可能だ。もっとも特徴的なのがグリップエクステンションである。ソニーから純正アクセサリーとしてグリップエクステンションが発売されているが、機能的である反面、グリップエクステンションを装着した状態でカメラが立たない。底面がフラットでないため、立ちようがないのだ。鳥井工房のグリップエクステンションは、底面がフラットで小さいレンズならカメラが自立する。ウエイトのあるレンズでも、安定した状態でカメラを置くことが可能だ。

 

α7IIIエバレディケースに、グリップエクステンションとモニターカバーを装着。いわゆるフル装備の状態だ。

 

グリップエクステンションを外し、α7IIIエバレディケースのみの状態。フィット感と機動性の高さが魅力だ。

 

このグリップエクステンションは、外革にシュランケンカーフ(ブラック)を採用している。最近のレザーケースはエイジングしやすいベジタブルタンニン鞣しのものが多いが、鳥井工房はあえてクローム鞣しのシュランケンカーフを用いた。もちろんこれには理由がある。グリップエクステンションは底面が幾度となく机などとこすれ合う。そうした使われ方を想定し、経年変化の少ない頑丈な革を用いたのだ。まさに機能性への創意工夫である。ここでは製品撮影のために小さいレンズを装着しているが、ズームレンズのように大柄なレンズとの組み合わせがお薦めだ。

 

クローム鞣しのシュランケンカーフを、吊り込み技法で形成している。耐久性に長けたレザーだ。

 

グリップエクステンションのネジを緩めると、バッテリー部にイージーアクセスできる。グリップエクステンションを完全に外す必要はない。

 

ふたつめはモニターカバーだ。同社のデジタルM型ライカ用ケースでは、かねてからモニターカバーがオマケとして付属していた。これはプレート状のレザーを背面にはめるだけのシンプルなものだが、液晶保護は鳥井工房にとって懸案事項だったのだろう。α7IIIエバレディケースでは本格的なモニターカバーがオプションとして用意されている。液晶部分をレザーで覆い、側面のホックボタンを外すと手前にパタリと倒れる。もちろんモニターカバーを装備した状態で液晶チルトが可能だ。モニターカバー自体も着脱できるため、撮影用途に応じてモニターカバーの有無を選べる。実用的で、なおかつ着脱できる点が真骨頂だ。グリップエクステンションとモニターカバーで、自分流の使いやすいスタイルを構築したい。

 

α7IIIエバレディケースにオプションのモニターカバーを装着。液晶部分を完全に覆ってくれる。

 

側面のホックボタンを外すと、液晶モニターが現れる。この状態で液晶チルトが可能で、操作性を犠牲にしない作りだ。

 

グリップから側面にかけて、しっかりとレザーが覆う。そのため、ケースを装着した状態でのメモリカード交換はできない。

 

α7IIIエバレディケースの新しさはシステムアップだけではない。実は目立たない部分で新たな試みが導入されている。まず、アルミプレートの採用だ。昨今、中国製のレザーケースを中心に、底面に金属プレートを組み込むメーカーが増えている。そうは言っても、鳥井工房はハンドメイドレザーケースを得意とするだけに、アルミプレートの採用は相当奇異に映るだろう。無論、これには特殊な事情がある。アルミプレート採用の背景として、α7IIIの特異性を解説しておこう。

α7IIIというカメラは、実のところタイトフィットするケースが作りづらい。α7IIIのグリップ底部を見ると、バッテリー着脱部の蓋が外周ギリギリに迫っているのがわかる。その厚みは2ミリあるかないか。この部分があまりに薄いため、バッテリー交換可能なケースの設計が困難だ。ケース底部にバッテリー交換用の穴や蓋を作るには、グリップまわりを通常より大きめに作り、強度を保つ必要がある。ただし、底部を大きめに設計すると、グリップまわりのレザーがグリップにフィットせず、ガバガバになってしまう。ことα7IIIに関しては、タイトフィットかつバッテリー交換対応という設計がとかく難しいのだ。

 

ケースの底部にアルミプレートを仕込んである。ケースの強度とタイトフィットを実現する要のパーツだ。

 

バッテリー窓はオプションで有り無しを選べる。

 

こうした状況への鳥井工房の答えが、アルミプレートの採用だ。アルミプレートでジャストサイズの底部を作れば、ケースの強度を保ちつつ、バッテリー交換用の穴も確保できる。さらにグリップエクステンションにもアルミプレートを仕込み、ボディと接触する面の平滑性を向上した。無論、単に金属プレートを用いるだけなら、既存のケースと変わりない。α7IIIエバレディケースは、アルミプレートの両面をレザーで挟み、外観はあくまでもハンドメイドレザーケースなのだ。こうした外観へのこだわりはさすがである。

ふたつめはオリジナルのハンドル付きネジだ。鳥井工房は以前から、ハンドル付きネジの使用も想定してケースを設計していた。ついにオリジナルのネジを開発し、その初投入となるのがα7IIIエバレディケースだ。小振りでありなが回しやすく、同時に過度に締め付けることのない絶妙なサイズ感を追求した。また、市販のハンドル付きネジと異なり、三脚用の穴がある。カメラ用のネジに特化しているのだわかるだろう。また、これはケース側の特徴でもあるのだが、Eリングを組み合わせ、緩めた時にネジが脱落しないように配慮している。

 

オリジナルのハンドル付きネジは真鍮にメッキを施している。

 

Eリングを組み合わせ、ネジの脱落防止を図る。本ケースについてはこの仕様が使いやすいと言う。

 

鳥井工房はそもそもフルカバードタイプのレザーケースを得意としてきた。フルカバードとは、カメラの背面をレザーで覆い、液晶や操作ボタン部分をくりぬいた仕様である。しかしながら、α7シリーズは背面に操作ボタンが多く、しかも液晶チルト仕様だ。フルカバードタイプのケースが製作しづらい。さらに、バッテリー交換やケース着脱の利便性など、考慮すべき点がたくさんある。こうしたことを背景に、α7系のレザーケースは徐々にレザーの面積を減らしてきた。もはやそれがケースなのか、と問わなければならないほどに。α7IIIエバレディケースは、そうした現状への鳥井工房なりの回答に思えてならない。モニターカバーとグリップエクステンションを伴った姿は、フルカバードケース以上にフルカバードだ。その佇まい、中世の甲冑のごとくである。

 

鳥井工房 α7III/α7RIII/α9 Ever-ready Case
鳥井工房 α7III/α7RIII/α9 Grip Extension


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