ARTISAN&ARTIST* LMB-MC
ライトベージュレザーの魔法

写真・テキスト=澤村 徹

アルティザン・アンド・アーティストのLMB-MCは、同社とぼくのコラボレーションによって誕生したライカM用ケースだ。シープスキンという特殊なマテリアルが特長なのだが、加えてレザーの色にも殊の外こだわった。シープスキンは中間色にかぎる、という個人的な思い込みを貫かせてもらった。

いまから20年程前、シープスキンのジャケットを買った。ブルーグレーという絶妙な中間色に魅せられ、衝動買いだった。10代の頃からレザーが好きで、ジャケット、ブーツ、バッグなど、様々なレザーアイテムを使い倒してきた。ただその大半は、ハードなイメージかビンテージテイストのものばかりだ。ブルーグレーのシープスキンジャケットは、そうしたレザーアイテムと一線を画す。レザーカラーがマテリアルの軽さと柔らかさを体現し、どこまでも穏やかな表情だった。

アルティザン・アンド・アーティストのデザイナーに、中間色のシープスキンを使いたい旨を伝える。イチ押しがライトベージュ、次候補がカーキベージュとブルーグレー。シープスキンの色見本を見ながら、各候補を用いた際の縁取りとステッチの色も検討する。縁取りはブラックで行くことに決まったが、ステッチの色が悩ましい。黒ステッチなら無難だが、せっかく中間色のシープスキンレザーを使うのに、無難路線というのが気になる。明るいステッチは縁取りが黒だととにかく目立ち、これはこれで冒険だ。こうしたセレクトはとかく悩ましいが、打ち合わせは大いに盛り上がって楽しい時間だった。

しかし、中間色の採用はけっして容易なことではない。なぜなら、レザー製カメラケースは、圧倒的にブラックが人気だからだ。ブラックとブラウンが定番色だが、販売数はブラックがダントツ。カメラケースの色に関して、世のカメラユーザーは驚くほど保守的だ。レッドやブルーといった派手な色は論外、ブラウンすら手に取ってくれない。こうした現実を前に、果たしてライトベージュなどという大冒険をかまして大丈夫なのか? 見た目がどんなにかっこよくても、売れないものは作れない。やはり売れ筋のブラックにした方がいいのではないか。ライトベージュとブラックの2色展開はどうか。同じ中間色でももう少し暗い色を選んでは? 様々な意見が交錯する中、憂慮を一気に吹き飛ばしたのは、他ならぬライトベージュのシープスキンそのものの存在だった。

ライトベージュのシープスキンでケースを試作したところ、ライカMタイプ240とのマッチングが抜群だったのだ。もちろん良かれと思って選んだカラーだが、思っていた以上にライカとライトベージュがよく似合う。単に色だけではなく、シープスキンのマットな質感、タイトにボディを覆う見た目など、様々な要素がプラスに働いた。けっして万人向けのカラーではないが、気に入ってくれた人の満足度はきっと高いはず、と自負している。

 

ライトベージュのLMB-MCは、ライカの赤バッチとも違和感なく溶け込んでくれる。

最後に、LMB-MCでドレスアップするときのポイントをひとつ。ライトベージュに組み合わせるストラップは、暖色と黒、どちらもイケる。まず、ミリタリー系のグリーンと相性がいい。トップ画像はまんまミリタリーテイストのストラップだが、ハードな印象でありながら、ライトベージュがどこか親しみやすさを醸し出してくれる。そしてブラックストラップも似合う。ライカ通っぽく言うと、いわゆるパンダだ。シンプルなブラックストラップでも、相当インパクトのあるスタイルに仕上がる。LMB-MCを手に入れたら、カメラドレスアップも楽しんでほしい。

 

ARTISAN&ARTIST* LMB-MC
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