Ninjageisha Sumo Strap
ショルダー付き組紐ストラップの奇跡

写真・文=澤村 徹


絹の組紐、そう聞いて想像するのは着物だろう。帯締めや小物の装飾など、和装にとって欠かせない存在であり、同時に女性的なイメージが強い。しかし、これは江戸時代以降の話だ。もともと組紐は武具や馬具の一部として発展した。戦国時代、甲冑の部品を固定するための技術として、また刀の柄巻きとして広く浸透していく。女性向けの装飾品どころか、男たちの戦いの道具として実用性と信頼を培ってきたのだ。

組紐ストラップを見る目が一変するほどの史実である。

NinjageishaのSumo Strapは、そんな戦国時代の強固な組紐を彷彿とさせる製品だ。一般的な組紐ストラップは組紐ありきである。オーソドックスな組紐の両端に金具を取りつけたものが多い。一方、このSumo Strapはストラップ的な形状を組紐でトレースするという手法をとっている。幅広のショルダー部が両端に向って細くなる。ストラップでおなじみの横幅が変わる形状を、1枚(1本)の組紐で再現しているのだ。

NinjageishaのSumo StrapをライカM11に装着。ショルダー部分が幅広で、それが途中から細くなるデザインだ。カメラストラップとしてはおなじみのスタイルだが、これを組紐で、しかも一枚仕立てで編んでいるのが特徴だ。

ライカQ3 43にNinjageishaのSumo Strapを装着した。これは2枚ものと呼ばれる裏表でデザインの異なるタイプだ。表面は黒をベースに多様な色が織り込まれている。ハンドメイドの極みだ。

これまでクライミングロープも含めて様々な組紐タイプのストラップを見てきたが、横幅を変化させた1枚仕立ての組紐ははじめてだ。ありものの組紐ではない。カメラストラップのために編み方を考案したオリジナルである。

幅の異なる組紐をつなげるのではなく、ショルダー部から取り付け部にかけて自然と横幅が狭くなる。組紐ストラップは数あれど、ここまで手の込んだものは珍しい。

1枚ものは1枚(1本)の組紐だ。ここでは黒とシルバーの絹糸を使い、山道柄という紋様で編んでもらった。柄や色のカスタムオーダーにも対応する。

2枚ものは柄の異なる組紐2枚を貼り合わせたもの。ここでは裏表でまったく異なる柄を組み合わせた。2種類の柄のインパクトに加え、2枚合わせなので厚みがあって存在感が増す。

本製品は1枚ものと2枚ものという2タイプがある。1枚ものはノーマルの組紐で、薄くしなやかな作りが魅力だ。首から提げるのはむろん、手首に巻いてもかさばらない。2枚ものは裏と表で異なる柄の組紐を組み合わせ、一体化している。裏表で柄が変わるおもしろさに加え、肉厚でレザーに負けない存在感だ。絹糸の色や柄はカスタムオーダーできる。

Curaの二重リングを採用。耐重性テスト済みの堅牢な組紐ストラップだ。取り付け部まですべて組紐でできており、1枚仕立てのスマートの佇まいが目を引く。赤いタグもいいアクセントになっている。

ストラップの長さはオーダー時に指定できる。長いほど価格は高くなる。着ぶくれする冬場は110センチ以上で作っておくと扱いやすいだろう。

Ninjageishaのストラップは桐箱に入って届く。和のテイストを前面に押し出し、かつラグジュアリーなテイストを大切にしたストラップブランドだ。

さて、ブランド名のNinjageishaといい、製品名のSumoといい、やけに日本推しの不思議な雰囲気を感じていることだろう。同ブランドは国産のハンドメイドだが、顧客の多くが外国人だという。誤解を恐れずにいうと、日本よりも海外で有名なストラップブランドだ。ライカ向けのシルバーアクセサリーで名を馳せたJAY TSUJIMURAから派生したブランドで、Ninjageishaも海外のライカユーザーの間で人気がある。いわば隠れ家的なストラップブランドだ。



Ninjageisha