The Challenge with Leica M11 and DR Summicron
DRズミクロンでメカシャッターを切る

Leica M11 + DR Summicron 50mmF2 写真・文=澤村 徹

 

先日、ライカM11でDRズミクロンを使うという記事を公開した。内部干渉にビビりながらシャッターを切るという記事だ。このとき筆者はシャッター幕干渉を恐れて電子シャッターを使ったのだが、そもそもDRズミクロンはシャッター幕干渉しないのでは、というご意見をいただいた。これはちゃんと調べねばなるまい。

DRズミクロンが内部干渉するといわれる由縁は近接用のカムだ。DRズミクロンは通常撮影用と近接撮影用のカムを搭載しており、そのためピントリングが通常撮影域にあると、近接用カムがマウントパーツから大きく飛び出す。この飛び出したカムが見るからに危険でビビっていた。ただ、よくよく考えてみると、後方への飛び出し量ならスーパーアンギュロン21ミリF3.4の後玉のほうが大きい。とりあえず最大繰り出しの状態でマウントから近接カム先端までの距離を測ってみると、せいぜい10ミリ程度だ。いやいや、いったい何を恐れていたのだろう。こんなもんなら恐るるに足らず。α7にGホロゴンをつけたときのことを思えば全然余裕。ていうかメカシャッター切れるだろ、と鼻息が荒くなる。

 

DRズミクロンのピントリングを無限遠にセットした状態。マウントのバヨネット部の外に、近接撮影用のカムが飛び出している。このカムが内部干渉の原因となるという見方が一般的だ。

 

ちなみに、デジタルM型ライカとDRズミクロンの内部干渉は、一般的にはカムとコロの干渉といわれている。飛び出した近接用カムがコロに干渉するという話のようだ。ライカMタイプ240にDRズミクロンをつけると、ピントリングの動きが10mを過ぎたあたりで止まってしまう。何かしらに干渉した手応えがある。ただ、筆者所有のDRズミクロン(後期型)だと、ピントリングを無限遠位置にしても近接カムの端は干渉するほどコロに接近しない(マウント内部は見えないので断定はできないけど)。カムとコロが干渉するといわれても、すんなりと納得できない。

そこで、ライカMタイプ240とライカM11でマウント内部を見比べてみた。M240はマウント下部を測光センサーが占有している。このセンサーがシャッター幕に反射した光を読み取り、露出制御する。一方、M11は円筒型で明らかに内部スペースが広くなった。ライカM11は測光をイメージセンサーで行うようになり、それにともなって測光センサーがなくなったからだ。おそらくこのマウント下部の機構が近接カムと干渉するのだろう。ためしにDRズミクロンを無限遠位置にセットした状態でM240に取り付けると、レンズをはめることはできてもそこから回らない。ぴくりとも動かない。はめた状態だと近接カムの端とコロはそれなりに離れている。これを踏まえると、コロと干渉するのではなく、そのマウント下部の測光センサーと干渉しているような気がする。

 

ライカMタイプ240のマウント内部。マウント下部に出っ張りがある。ここに測光センサーが収められている。

 

ライカM11のマウント内部。測光センサーがなくなり、内部スペースが広くなった。そのおかげか内部干渉せずにDRズミクロンで無限遠撮影できる。

 

ここまで推察を進め、ヤバイことに気づいた。ライカM11は無限遠位置のDRズミクロンをつけても内部干渉しない。近接カムとシャッター幕はそれなりに距離がある。マウント内部は十分なスペースがあり、ピントリングが無限遠から近接まで問題なく回る。ということは、普通のレンズと同じじゃね!? 電子シャッターいらなくない? メカニカルシャッターでいけるよね……。

液晶メニューを開き、「シャッタータイプ」を「メカニカル」に変更する。これでメカシャッターが切れる状態だ。DRズミクロンのピントリングが無限遠位置であることを指さし確認。大丈夫、近接カムとシャッター幕の間には距離がある。擦ったりしない。クラッシュしない。自信を持て。心を強く持て。いく、いくぞ! ンカシャ!!

そんなわけで、DRズミクロンでメカシャッターが切れてしまった。このあと数回メカシャッターを切ってみたが、今のところ大きな問題はない。ビビリまくって電子シャッターを使っていたけど、ライカM11とDRズミクロン、メカシャッターでいけるようだ。

しかしながら、改めて注意喚起しておきたい。ライカM11の取扱説明書には、DRズミクロンは使用不可レンズと記載されている。自分で試した結果としては無限遠でメカシャッターが切れているが、レンズの個体差や世代差を考慮する必要があるのかもしれない。そもそもデジタルM型ライカは沈胴レンズの沈胴行為を禁止しており、レンズの後方への飛び出しには神経質だ。DRズミクロンについても近接用カムが後方に飛び出すため、安全マージンをとっていると推察できる。もし同様のことを試す際は、自己責任下であることは無論、慎重な判断のもとに作業してほしい。また、マウント内部は直接確認できないため、内部干渉についての記述はあくまでも推察になる。もし、詳細をご存知の方は情報をいただけると幸甚だ。


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