Luige Custom Case for Leica M8
Leicatimeの功罪

Luige Custom Case for Leica M8

LEICATIMEはライカ用レザーケースのレジェンドだ。ぼくはファーストライカを手に入れる前から、「ライカの革ケースを買うならここ!」と決めていた。イタリアンレザーを使ったハンドメイドケース。いまから十年ほど前、それは多くのライカユーザーにとって憧れだった。そして同業他社にとってもひとつの目標になっていた。フォロアー、リスペクトと言えば聞こえはいいが、要はライカタイムとそっくりなレザーケースがいろいろなメーカーから登場した。そのままコピーしたもの、いいとこ取りしたものなど、程度に差こそあれ、ライカタイムの影響を受けた製品は枚挙にいとまがない。ちなみに、この「ライカタイム」という名称だが、最近は「ルイージケース」と呼ぶようだ。本家ライカと激似のロゴを使っていたので、さすがに横槍が入ったのかもしれない。

 

イジェクトボタンのすぐわきを、ハンドカッティングによるカーブが走る。このカーブの美しさは唯一無二だ。

さて、憧れいっぱいのライカタイムケースだが、第一印象は最悪だった。ライカM8を買って早々に注文したものの、一向にモノが届かない。ライカタイムはイタリアのメーカーだ。これがイタリア人のペースなのだろうか。しかし、一ヶ月たってさすがにクレームのメールを送った。すると、「ごめん、パソコンが壊れて注文メールが確認できなかったんだ。でも、すぐに送るからもう少しだけ待ってくれ」とそば屋の出前的なメールが返ってきた。二週間ほどたってようやくケースが届く。「黒レザーに赤ステッチ」で注文したのに、開封してみると「黒レザーに黒ステッチ」のケースだった。何かこう、どうでもいいや、という気分だった。

当時の国産ケースは、硬い革でカメラを覆うようなスタイルが多かった。実用性重視のカメラを保護するためのケースだ。それに対し、ライカタイムのケースはしなやかな革がカメラにぴったりと貼り付き、まるでボディコンシャスなドレスを着せたような感覚だ。フロント面の曲線といい、オーバル状のグリップといい、その洗練されたデザインは群を抜いていた。

 

反対側のカーブはファインダーの直下をきれいになめていく。現在でもファインダーにかぶさるケースが多い中、LEICATIMEは10年前からこの精密さを保っていた。

ただし、細部の作りはお世辞にもていねいとは言い難い。ケースの背面はブリッジのあるフルカバードタイプだが、液晶部分のカッティングが微妙にズレている。使い込むうちにズレが大きくなり、いまでは液晶の上部がブリッジが隠してしまった。付属ストラップはショルダーパッドの裏面が紫にバックスキンになっていて、夏場は汗で止めどなく色落ちする。ストラップの金属パーツを薄いレザーで覆っているのだが、これが購入時から剥がれていて、やむを得ず両面テープで修繕して使っている。

 

購入してしばらく、背面が少しズレていることに気付く。10年経過し、ケースのブリッジ部分が液晶にかぶってしまった。

イタリア製だから、ハンドメイドだからやむなし。かっこいいから許す。そういうライカユーザーは少なくない。ぼくもあれこれ文句を言いながら、ライカタイムのM8ケースを十年にわたって使いつづけている。この憎めない感じこそが、ライカタイムがレジェンドたる由縁だろう。ただし、ふたつめのライカタイムケースを買っていないことも、自分にとって動かしがたい事実なのだが。

LuigiCases(Leicatime)


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